静かな迫力
5点中5点
犯罪加害者の家族をテーマにした映画作品ということだが、社会派テーマとしてだけでなく、もっと突き詰めて「家族」という本質的普遍的なテーマにまで踏み込んだ良作。
登場人物それぞれがそれぞれの闇と正義を持ち、物語に巧く絡んで緊張感を張り巡らせていく。
「加害者の家族とはいえ、妹はなにもしていない。彼女も被害者なのだ」
という考え。
「被害者とその遺族は守られなかったのに、加害者の家族を守るというのか」
という考え。
どちらもそれなりの理があり、簡単に収まりのつく話ではない。安易に答えなど出せない。
だからこそ、鑑賞者それぞれが考えさせられ、想像力を膨らませる余地が、この作品にはある。
本作に登場し、犯罪加害者の家族を追い詰めていくマスコミやネットの住人などの凶暴性について演出過多だという意見もあったが、ぼくはそうは思わなかった。
なにか不祥事を起こした人間がいれば、自殺するまで追い詰めるのがマスコミだし、
犯罪者の住所や実名、画像をネットで晒し上げて祭りを愉しむのがネットの住人。
まったく、本質どおりの描写ではないだろうか?
大衆とマスコミの凶暴性の前に、犯罪加害者の凶暴性の印象がしだいに薄れていくさまは、非常に皮肉が利いている。